- 「TALONジッパーの年代を見分けたい」
- 「ヴィンテージや古着の知識を勉強したい」
こんな方へ向けて書いています。
筆者の僕は、現役の古着屋店員です。これまで数多くのヴィンテージを見分けてきました。
TALON(タロン)社とは、ジッパーの生みの親であり、かつて世界シェアNo.1だったメーカーです。
しかし、1980年代までに日本のYKKにシェアを奪われてしまいました。
実際に、ヴィンテージ古着にはTALONジッパーが使われていることが多いです。
この記事を読んで見分け方を覚えれば、一気にヴィンテージ古着に詳しくなれますよ。
※日本では「ファスナー」や「チャック」と呼ばれることも多いですが、全く同じ意味です。
TALON(タロン)ジッパーの年代判別方法
古い年代順に解説していきます。
〜1937年「HOOKLESS(フックレス)」
TALON社の前身メーカー「HOOKLESS」社製のジッパーです。
1937年頃にTALON社に社名が変更されたことから、1937年以前のものであると推定できます。
ヴィンテージ市場では希少価値が高く、ジッパーだけでも高値で取引されることがあります。
1930年代「ハトメTALON」
ジッパーエンドに「ハトメ」が付くのは1930年代のみ。
スライダーの形状にはいくつか種類がありますが、エンドにハトメが付いていたら1930年代のもので間違いありません。
アールデコ調のラインが入った扇型TALONは、1930年代後半に多く見られます。
この扇型TALONのエンドにはハトメが付いていることが多いです。
アールデコとは?
こちらは「角型ピンロックTALON」と呼ばれるもの。
ジッパーエンドがハトメの場合は1930年代、ハトメが付かない場合は1940年代です。
「ボールチェーン」も1930年代まで
写真のようなボールチェーンジッパーは1930年代以前のもの。
ジャケットの胸ポケットやパース、トラベルケースなどでよく見かけます。
1940年代以降は、菱形のものが使われるようになります。
〜1940年代前半「デコTALON」
アールデコ調のラインが入る通称「デコTALON」は、1940年代前半まで。
〜1940年代「コの字留めTALON」
ジッパー上端にコの字の金具が付く「コの字留め」は、1940年代まで。
ベル型や棒型など、さまざまな形状があります。
1940年代〜1960年代「菱形TALON」
1940年代から、ボールチェーン→菱形のスライダーに変更されました。
ジャケット類の胸ポケットなどによく使われているジッパーです。
〜1950年代前半「ピンロック(片爪)」
スライダーが下がらないようにロックする爪が1つのものを、「ピンロック」または「片爪」と呼びます。
1950年代前半までに見られるロック機構です。
1950年代後半〜1960年代「カムロック(両爪)」
裏側の爪が2つに進化した「カムロック(両爪)ジッパー」です。
1950年代後半〜1960年代に見られます。
1950年代後半〜1970年代「棒TALON」
スライダーがやや長く、先端に丸みがあるのが特徴の通称「棒TALON」ジッパー。
棒型のジッパーは以前から存在しますが、「棒TALON」という呼称はこちらを指すことが多いです。
1960年代〜「セミオートマチックTALON」
カムロック(両爪)から「セミオートマチック」というロック機構に進化したジッパー。
中央にバネの役割をするシルバーの金具が付いているのが特徴です。
この角形のデザインのものは、1960年代〜1970年代初頭に多く見られます。
1960年代〜「オートマチックTALON」
1960年代以降は、現在でも一般的な「オートマチック式」のロック機構のジッパーが幅広く使われるようになります。
この中でも通称「42TALON」と呼ばれるものは特に有名で、実際に古着屋に行くとすぐに見つかるジッパーです。
1980年代〜1990年代「角丸セミオートマチックTALON」
この年代のセミオートマチックTALONジッパーは、以前の角型のものと比べて、角が丸いのが特徴です。
1990年代以降は、TALONジッパーをほとんど見かけなくなります。
その場合、ブランドタグや品質表示タグなどを見て、総合的に判断してみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
TALONジッパーの形を覚えるだけで、ヴィンテージの基本をおさえることができましたね。
私たち古着屋では、タグ・形・素材など、いろいろな特徴をふまえて、最終的な年代判別をしています。
ジッパー以外の年代の見分け方も知っておくと、古着屋に行くのが楽しくなりますよ。
※ヴィンテージ初心者の方には以下の書籍がオススメです。
幅広いアイテムの見極め方、基礎知識が詰まった一冊で、持っておいて損はないですよ。